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![]() Flashアニメの歴史(第2回〜Shockwaveの時代) 「TAKAGISM」は、高木敏光氏の手によるマルチメディア作品の展示サイトである。当時は氏が独立する前に勤めていたデータクラフトのサーバ(96年2月15日開設)にあった。データクラフトは、画像や音楽を初めとした映像作品の素材集CD-ROMの販売などを扱っており、「TAKAGISM」に並んだ作品も最初は「こんな凄い作品を作る人が当社の製品を手がけていますよ」というプレゼンテーション的な意味合いがあったのかもしれない。だが、その奇抜なアイデアを持つ一連の作品の驚くべきクオリティーで、「TAKAGISMに行けば面白い動画やゲームがある」とたちまち人気を集めた。 当時の高木氏の作品をいくつか紹介すると、ムービーでは“TAKAGISM BLACK”シリーズとして発表された「At a barber's shop」や「ZZZ...I want to sleep」が、独特のタッチと音楽の合わせ技による濃厚な作品として知られ、ゲームではキューピー工場を舞台にした不思議なアクション「キューピーショット1000号」が、設定と展開の面白さで噂となり、雑誌でもよく取り上げられていたと思う。 ここで軽くおさらいしておこう。高木氏が作品を作るのに使用しているソフトはマクロメディアの「Director」(1988年。前身「VideoWorks」は1985年)である。Directorは、動画・画像を組み合わせたマルチメディアコンテンツを作るためのソフトウェアで、元々はCD-ROMオーサリングツールとして1990年代初めに注目を浴び、多くのクリエイターが手腕を振るっていた。だが、インターネットの流行に伴い、Directorで作った図像やゲームなどの発表媒体は、CD-ROMからウェブ上へと移っていった。 この配信をもっと容易にしようと、海外では1995年12月、日本では1996年8月にマクロメディアがリリースしたのが「Shockwave Plug-in(以下Shockwave)」である。それまではDirectorで作った動画ファイルを見るには「QuickTime」などの再生ソフトを別途立ち上げなければいけなかったが、このShockwaveをインストールすれば、マクロメディア製品で作ったコンテンツを、ブラウザでそのまま表示・閲覧できるようになった。これによりサイトでゲームやアニメ作品を発表する人が増加し、Shockwaveは1996年のニッポンのインターネットの話題を掻っさらって行った。 だからShockwaveと一口にいっても、ゲームあり、ムービーあり、インタラクティブなスライドショーありと、いろんなジャンルがあるのだが、プラグインで再生可能な作品はすべてShockwaveと呼ぶので混乱しがちである。『インターネットマニア』誌1996年12月号には「WWWを天下の公道に例えるなら、Shockwaveはそこでかき鳴らすギターだ」という高木氏の発言が残っている。 しかしShockwaveも万能ではなかった。いや万能でありすぎたというべきかもしれないが、Directorは確かに複雑な作品作りが可能なのだが、それには「LINGO」と呼ばれるプログラム言語を覚える必要があり、操作方法が初心者には取っ付きにくかったのである。ほかにも作品の容量が大きくなりやすく、当時の回線状況には不向きだった点が挙げられる。ソフトの値段も高額だった。作家はアニメーターである前にプログラマーでなくてはいけなかったのだ。 ウェブ上のマルチメディア作品のスタンダードを狙っていたマクロメディアは、Directorよりも操作が簡単で、容量が軽くて済む、新しいソフトウェアをリリースする必要に迫られた。そこで目をつけたのが、一部で話題になっていたアニメーション作成ツール「Future Splash Animator」である。マクロメディアはこのソフトを作った会社ごと買収し、「Future Splash」を略して「Flash」と変更、1997年1月に発売するのである。
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