■ばるぼらの「教科書には載らないコンテンツの歴史教科書」: Flashアニメの歴史(第13回〜2003年のFlashアニメーション・その2)
2005年6月08日 更新
2001年8月9日に開設した、つかはら氏の「弥栄堂」は、当初から画像に限らず、実写短編などの映像作品を公開していたが、Flashを使ってアニメーションを発表し始めたのはほぼ2003年に入ってからだ。3DCG作品「鉄路ゆかば」の完全版(2月16日)を前史として、7月30日に公開された「甲鉄戦記」の、登場するメカの演出クオリティで一気に話題をさらった。その後も戦車などのイメージを多用した作品を半年に1度くらいのペースで発表している。先月開催された「第17回CGアニメコンテスト」では「ウシガエル」が入選した。
「マスヲのやつ」マスヲ氏のFlashアニメーション3作目「灯台守の夜」(9月26日→ミラー)は、完成度の高さではほかに類似する作品が思い付かない孤高の傑作。病気の夫をもつ老婆、船の穴につめられた犬、先祖代々釣られてきた魚など、一筋縄ではいかない不幸な登場キャラクター達の、一夜だけ交差する物語を、あくまで淡々と描く手腕が素晴らしい。元々は「GIF倉庫」という名前のサイトで、GIFアニメも置いてあったのだが(GIFアニメ投稿サイト「大日本動画帝國」で活動していたとか)、移転後は「マスヲのやつ」となりFlash作品のみになった。サイト閉鎖後は「JUMP DIGITAL MANGA」
でウェブコミック「ツヨキチマン」を連載していたが、現在は終了している。
ところでFlashアニメーションの歴史を辿る際、やはり2003年から増え始めた(オンライン/オフラインに関わらず)「上映イベント」という存在は大きい。1つは動機の問題である。Flashを発表するという行為は、時として作家の“表現したい”という欲望以上に、掲示板などで自分のFlashコンテンツを介してコミュニケーションをしたい、できれば作品について語り合ったり盛り上がったりして欲しいというコミュニケーションツールとしての役割を担う場合が多い。
例えば、別にプロを目指すわけではないけども、2ちゃんねるの「Flash・動画板」という場にもっと参加したいからFlashに手を伸ばす、という人は少なくないだろう。これは従来のクリエイターからはおそらく出てこない発想で、2ちゃんねる系Flashに独自性がある理由の1つだと思う。
そうした視点から見ると、大人数でFlashを見ながらバカ騒ぎをして過ごす、夏の「FLASH★BOMB」や年末の「紅白Flash合戦」といったイベントの存在は、作家がモノを作りたくなる、作品をそこで発表したくなる動機としては十分だ。イベントが定例化することで力のこもった作品がイベント時に集中することになり、未知の作品が口コミで話題になったり、ひっそりと活動している作家の隠れた名作に偶然出会ったりする可能性は減ってしまったけども、多くの人間に見られることを前提にすることで作家のモチベーションが上がり、その結果より良い作品が生まれるならば、こうした動きは歓迎すべきだろう。2003年にFlashが評判だった理由は、イベント上映が1つの目標として、作家の創作意欲を刺激したことが関係しているのではないだろうか。
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