触ってめくって奪い取れ!!「かるた」
2007年04月10日 16:10
(しばた@OHPのオススメ漫画)
今回紹介する「かるた」は、拍子抜けするほどシンプルすぎるタイトルが示すとおり、かるた漫画だ。というと非常に漠然としているが、要するにいかにかるたを速くとれるかを競う「競技かるた」の世界を題材にした物語である。かるたは屋内で行うモノだし、「文系」というイメージもあるので、地味に思えるかもしれないが、読んでみるとこれがなかなかにアツい作品に仕上がっている。
本作の主人公は高校2年生男子の軽部太一。彼は人並みはずれた反射神経の持ち主で、格闘ゲームの世界では、全国チャンピオンに輝くほどの腕の持ち主。そんな太一がある日、学校で幼なじみの大江由利子と戯れていたときに階段から転倒し、そのせいでかるた同好会唯一の部員である女の子・小野千歳を骨折させてしまう。それで責任を感じてかるた同好会に入部届を出した太一は、そこでかるたの面白さ、奥深さを知り、すぐにずっぽりハマっていってしまう。
というわけで、この作品では太一たちが競技かるたの世界で奮闘していく様子が描かれていくのだが、かるたシーンはかなりの白熱ぶり。主人公の太一は、元々ゲームで反射神経を鍛えまくっていただけに素質は相当なもの。さらに他人より速く反応し、札をとっていくために、オリジナルの戦略、テクニックを考案して、速度に磨きをかけていく。その過程がたいへん面白く、またアツく描かれている。
「かるた」1巻~ 竹下けんじろう 秋田書店
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試合シーンはなかなかに白熱。4コマめ、左が主人公・軽部太一、右がその幼なじみの大江由利子、札を読んでいるのが元からのかるた同好会部員・小野千歳(第1巻43ページ) |
試合シーンもけっこう激しい。1巻後半で描かれるかるた大会では、巨大な体躯を生かして威嚇してくるような相手や、精神的な部分をついてくる卑怯な相手と、緊張感たっぷりな試合を繰り広げていく。「たかがかるた」と侮るなかれ。競技かるたの世界は、刹那の反応速度を競い合い、高度な戦略と丁々発止の駆け引きが乱れ飛ぶ、実に激しい世界なのだ! 筆者はかるたのことはよく知らないので適当ぶっこいてるが、ともかくこの漫画によるとそうらしいのだ!
また、かるたの場合、男女を問わずに参加可能というのはポイントが高い。通常、熱血スポーツ漫画といえば、だいたいの競技が男なら男同士、女なら女同士で対決するのが普通。しかし、かるたでは男女対決もごく当たり前のように行われる。そのため熱血ではあるけれど華やか、萌え要素はあるけれども緊張感もあるという、なかなかええ感じな状況になっている。
太一の入部のきっかけになった千歳は、一見そっけなさそうだけどツンデレ的な要素があるし、太一の幼なじみの由利子も天然系でほわーっとしたノリが見てて楽しい。あと何気におっぱいも大きい。……えーとまあそういう萌え要素だけの漫画ではないんだけど、やっぱりそういう要素もあったほうがうれしいことは確か。そんなわけで燃え&萌えなかるたの世界が描かれるこの一作。書店で見かけたら、競技かるたのごときスピードで、ズバッとゲットしてみてもらいたい。