小4妹とオタク兄のヘンな日常「○本の住人」
2006年11月10日 18:45
(しばた@OHPのオススメ漫画)
今日は、前回の「HR ~ほーむ・るーむ~」に続き、いわゆる「萌え系4コマ」からオススメ作品を紹介する。「○本の住人」の作者kashmirは、そのカワイイ絵柄と独特のギャグセンスで、ネットでも知る人ぞ知る存在だった。本作はその記念すべき初単行本となる。
本作の主人公は、小学校4年生の女の子・蓼科のりこ。ツッコミ気質ではあるものの基本的には大人しいめがねっ娘なのだが、彼女を取り巻く面々はヘンな人が多い。中でものりこの兄は、幼女やフィギュアが大好きで、ダメ人間な絵本作家。彼の描く本は趣味がバリバリに出ていて、ロリネタがてんこ盛りかつ内容もぶっ飛んでいて、絵本のくせに発禁になっちゃうというシロモノ。またのりこの同級生でハーフの女の子・ちーちゃんはかわいいけど頭がちょいアレだし、授業中でも寝ちゃう先生とか、わりと困った人がそろっている。
まあそんな面々の日常を描いていくという内容なのだが、これが読んでると思わずニヤリとしてしまうような、独特の面白さを発揮している。キャラクターでは、のりこ兄が面白い。何でもかんでもフィギュアやらオタっぽいことに結び付けるダメ人間ぶりに思わず笑ってしまうし、のりこのお友達のちーちゃんの脈絡のないブチ切れた言動とかもグッド。あと暴走しがちな兄を叱ったりしつつも、実はお兄ちゃん大好きっこであるのりこのツンデレ感も、なかなかオツなものだったりする。
■「○本の住人」1巻~ kashmir 芳文社
|
■小学4年生の少女・のりこと兄の日常はこんな感じ。絵本作家の兄の脳内は、ダメ人間的オタ妄想が渦巻いている(第1巻28ページ)
|
そしてこの作品でいいのが、さまざまなところにさらりと滑り込ませてあるオタクチックなネタの数々。ネタそのものは、けっこうディープだったりちょいと毒があったりするのだが、それを実にさりげなーく料理している。オタネタを作品に盛り込んでそれを前面に押し出しすぎると、得てして暑苦しかったり嫌味ったらしくなったりするものだが、本作ではそういうところが一切なし。テンポ良く繰り出されるヒネリの効いたオタネタに、笑いのツボをくすぐられて、思わずニヤニヤしてしまう。
あとkashmir独特のかわいい絵柄も、シンプルながらも気持ちがよく、適度な萌えもあって、たいへんいい感じ。なおkashmir作品では、現在「電撃大王」および「電撃萌王」で連載中の「百合星人ナオコさん」も12月9日に発売予定とのことなので、本作が気に入った人はそちらもぜひチェックしてみていただきたい。
■しばた@OHPのオススメ漫画の過去記事はこちら