アキバでメイドが攻められ受ける「ハチワンダイバー」
2006年12月29日 20:20
(しばた@OHPのオススメ漫画)
これは面白い! 読む手が止まらん!! 今回紹介する「ハチワンダイバー」の作者・柴田ヨクサルといえば、「エアマスター」「谷仮面」といった、どちらかというと肉体派でアクションバリバリな作品で知られる漫画家だ。その最新作はなんと将棋漫画。将棋といえば基本的にはテーブルゲームなので、対局中に動くのは上半身のみ。それだけにアクションに迫力を出すのは、麻雀漫画同様けっこう難しかったりするのだが、本作はそんなことなどなんのその。血沸き肉躍る興奮の将棋漫画に仕上がっているのだ。
本作の主人公は、かつては奨励会に属していたがプロ棋士にはなれず、やさぐれていた将棋指しの菅田。奨励会を退会した後、菅田は金を賭けて将棋をする「真剣」で日銭を稼いでいたのだが、秋葉原の将棋道場に現れる「アキバの受け師」と呼ばれる女性棋士に挑戦してこっぴどく惨敗する。
プライドをズタズタにされた彼は、そこから再スタートを切る第一歩として部屋を掃除しようと思い立ち、おそうじメイドさん派遣サービスを頼むのだが、そこに来たメイドさんが実はアキバの受け師さんであることに気づいて、彼女のことで頭がいっぱいになってしまう。そして彼女に近づこうという想いも手伝って、今までとはまったく違う、ハイレベルな「真剣師」を目指していくのだった……。
■「ハチワンダイバー」1巻~ 柴田ヨクサル 集英社
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■「アキバの受け師」さんは将棋をするときはメガネ着用、服装も地味。しかしバイト時は表紙のごときメイドさん姿に変身。そのギャップがたまらんのです。(第1巻21ページ)
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といったわけでガチでハードな将棋漫画が繰り広げられていくのだが、これが冒頭でも述べたとおり、やたらと面白い。将棋シーンは「エアマスター」の格闘シーンさながらに力強く、ダイナミックで緊張感たっぷり。一手一手について細かく描くわけではないものの、盛り上げっぷりが実に見事で、将棋を知らずともアツく燃え上がるものがある。
それからアキバの受け師さんのキャラも見てて楽しい。普段はメガネをかけてて態度はクール。服装も地味でいかにもオタク女子という感じなのだが、それがメイド派遣サービスをやっているときは一変。優しい目つきと態度でご主人様を癒してくれる。菅田が彼女に導かれて、よりディープな真剣師の道を歩んでいくことになるのだが、対局を重ねるごとに菅田が受け師さんにハマっていく様子は、ラブコメ的に見ても面白い。絵柄的にはゴツめなのでパッと見「萌え」って感じではないんだけど、作者の描き方が愛情たっぷりなので、慣れてくるとこれが不思議とかわいく見えてきてしまう。
柴田ヨクサルの作風はとにかく直線的。ダイレクトでズバッときてキレ味抜群。描線は極太、セリフの文字もデッカい。その押しの強さ、思いっ切りの良さ、メッセージの力強さが読む者の心を直撃。たいへんスカッとさせてくれる。それは将棋についてもそうだし、恋愛についても同様。登場人物たちが道を切り拓くべく、まっすぐマジメに行動するもんだから、見ていて実に清々しい。そんなわけで痛快至極なこの一作。あなたは読むや読まざるや。
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